好日山荘 山登りブログ

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山姥誕生  2

ひとり id:it3227 さんの投稿
         山姥誕生  2               
飲み屋でその男は
「あの小娘、オレをバカにしやがって。。。」と酒に酔いながら
町のゴロつきと飲んでいた。
お蝶の家では、金貸しとこの始末で言い争ていた。このままでは
折角、米相場に口入出来る手配が無くなることだけは。。。と
金貸しの主は思案した。
源太は朝からコキ使われて、泥のように眠るんだが寝る前
「家に帰りてぃ」と泣きが入る様になっていた。
 そのころ、お蝶は小屋から出て二日目の昼。
昨日の夕方から、後ろに付いて来てるのは犬かオオカミか。
なにしろ赤い毛の獣がいることは気が付いていた。
離れず寄らず、後ろにいると思うと前にいる。
いま、歩いてるこの獣道もあの赤毛になんだか導かれてるように思えた。 また沢を越えると、険しい山の中腹あたりか。
岩と岩の間に、何やら洞窟みたいな大きい穴があるのを見つけた。
中に入ることにしたお蝶は、薄暗い穴は意外と奥があるので
周りに何があるのか分らなかった。だんだん目が慣れてくると
行李箱(こうりばこ)が何個かあるのに、気が付いた。
迷わず蓋を開けて、手にした袋の感触は。。。  
米だコメに違いない。それを開けて手掴みで口に入れたが
生米が食えるはずがない。 お蝶はそこで考えみた。
水に浸せば、いいかも知れないと思い竹水筒に手をやったが水は
無いので探しに出た。
洞窟から出るとちょうど下る道があるので、そちらに行くと
あの赤い獣が待ち構えていた。
「私を。。  どうするつもり」とお蝶は心の中で聞いた。
  つづく。。。。